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Issue No. 17 ( April 27, 2023) 腸内環境

多くの人が患うアレルギーや自己免疫疾患には、リーキーガットという問題が大きく関係しているということが近年の代替医療業界で注目を集めています。私達が食べたり飲んだりしたものは、胃腸で消化され、腸壁から吸収されて初めて正式に体内に入ります。腸壁は細胞と細胞とが隙間なくしっかりくっついていて形成されており、充分に細かく消化された栄養素だけが、腸壁の細胞に備えられている栄養素別の特別な入り口を通って吸収されるので、未消化の物や体にとって不要な物は体内に入れないような仕組みになっています。しかし、腸内環境が悪化し、腸壁の細胞が炎症を起こすと、細胞と細胞の間に隙間ができてしまい、体内に属さない異物や、腸内に住む微生物や、消化が最後まで終わっていない食べ物が、その隙間から体内に入るという現象が起きてしまいます。これがリーキーガット(漏れる腸、という意味)です。


リーキーガットになると、体に属さない異物の処理にあたる肝臓も腎臓も免疫細胞もフル回転になり、体中のいたる所で炎症を引き起こすだけでなく、口や鼻から入ってくる比較的無害な異物をスムーズに排除することができなくなるので、色々な物に対してアレルギーになっていきます。体内に入ってしまった異物が我々の体の細胞に似たものであった場合("分子類似性"といいます)、免疫機能が異物と間違えて自己の臓器を攻撃してしまうと、自己免疫疾患を引き起こします。例えば日本人女性の10人に一人が患うといわれている橋本病は、甲状腺の細胞がグルテンに似ているため、免疫機能が甲状腺を攻撃することで起こる病気であるということも言われています。


リーキーガットを起こさないためには、腸内環境を良好な状態に保つことが大切なわけですが、ではどういう状態が「腸内環境がよい」状態なのでしょうか?下痢や便秘や腹痛などの明らかな症状があるれば、「腸内環境がよくないのかもしれないな~」ということは簡単にわかると思いますが、腸内環境の良し悪しは必ずしもそんな風に本人が自覚できるものでは実はありません。もっと腸内の状態を客観的にみる方法のひとつに、腸にどんな種類の微生物がどれくらいの数いるのかを調べる、腸内フローラ検査という物があります。腸内フローラとは、腸内に住んでいて腸壁を覆っている微生物の群れのことをいいます。以前から「善玉菌」と「悪玉菌」のバランスが大切であるとかいうことは言われてきましたが、近年の腸内フローラの研究で明確になっているのは、どの種類の菌が数多くいるか、ということだけでなく、どれだけたくさんの種類の菌がいるか、ということが腸の健康度や強さの目安になるということです。腸内フローラのバラエティーが富んでいれば富んでいるほどその層は厚く、食中毒を引き起こすような細菌やウイルスにも負けにくいのだそうです。私達の体内に存在する免疫細胞の8割は腸内にいるので、腸内環境を良好に保つということは、体全体の免疫力を高めることにも繋がります。免疫機能が腸でのバトルで大忙しになってしまうと、他の部分がおろそかになってしまうのです。


Dr.サビーン・ハザンという、長年腸内フローラを研究し薬の開発に関わって来た胃腸科の専門医によると、コロナで重症化した患者の便にはビフィズス菌が全くおらず、それに対して絶対にウイルスに接触はしていた(ex.家族が感染し、家庭内での隔離など一切しなかった)のに感染しなかった人の便からはたくさんのビフィズス菌が検出されたそうです。これは元々腸内にビフィズス菌がたくさんいたことが強い免疫と関係していたということを示すのか、それともウイルスによってビフィズス菌がいなくなってしまったのか、そこは明確ではありませんが、Dr.ハザンは、コロナのワクチンの接種後ビフィズス菌の数が著しく減少すること(短期的な現象ではなく6-9か月後にも影響は続く)、コロナのワクチンによって深刻な被害を負った患者の便にもビフィズス菌がいなかったこと、そしてワクチンを打った母親の母乳で育っている乳児の便からもビフィズス菌が検出されないこと(通常母乳で育つ子の便にはたくさんビフィズス菌がいる)なども報告しています。


では、どうやったら腸内環境をよくできるのでしょうか?ヨーグルトや、ビフィズス菌含むサプリや食品をたくさん食べれば一件落着、になるのでしょうか?残念ながら、そうはいかないようです。Dr.ハザン曰く、そもそも「ビフィズス菌が入っている」とうたっている食品やサプリメント合計23種をラボで調べたところ、実際入っていたのは3つだけ(!)であったし、例え本当にビフィズス菌が入っている食品やサプリを摂ったとしても、それによって腸内でもビフィズス菌がどんどん増える、というような簡単な問題ではないとのことです。実際私達のクリニックでも、市販のヨーグルトを毎日食べる患者さんの腸の状態は良くないことが多いです。また、ビフィズス菌だけに集中してこだわっていると新たなアンバランスを引き起こす可能性もあります。


腸内フローラのバラエティーを富ますためには、まず色々な物をよく噛んで食べ、色々な人や動物と接触し、色々な場所に行き違う空気をたくさん吸うこと。野菜をたくさん食べること。発酵食品を積極的に摂ること。消化に負担になる小麦製品や乳製品や加工食品を控えること。腸内細菌を殺してしまうGMO(=遺伝子組み換えの)トウモロコシを極力避けること。腸内でカビを増やす甘い物を控えること。また、胃酸の原材料になるタンパク質をしっかり摂ること(十分な胃酸無しに食べ物の完全な消化はありえません)。消化酵素を利用すること。胃腸の粘膜を荒らさないために、ストレスの原因となっている物を取り除くこと。消化の機能を促す自律神経(副交感神経)がしっかり働けるように、血糖値を安定させ、充分に睡眠をとり、適度な運動をすること。結局は、健康の5大要素「DREAM」(Diet食事、Rest休養、Exercise運動、Alignment姿勢、Mental health精神の健康)に行きつくのです。


腸内環境は、痴呆やアルツハイマーにも関係しています。腸内環境がよくなると、それらの症状が改善するのです。胃腸の問題の影響は、体中にも脳にも及びます。日本は高齢化が進み、介護の問題は毎年どんどん深刻化しています。自分達の家族のためにも、日本の将来のためにも、私達は本気で胃腸をいたわり体の手入れをしていかねばなりません。



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