Issue No. 35 (June 18, 2025) ストレスとステロイド剤の話
- hiroizumidc
- 8月12日
- 読了時間: 4分
ストレスが健康に良くないことは皆さんよく知っていると思います。
ストレスが過度にかかっているとき、ストレスホルモンが分泌されます。
ストレスホルモンが過剰になると、緊張状態から抜け出せなくなり、睡眠や消化吸収機能といった生命維持の根幹を担う部分に支障をきたすようになります。
ストレスホルモンの中でも最も強力なのがコルチゾールというホルモンで、副腎という臓器で作られます。
コルチゾールとほぼ同じ作用を持つ物質は人工的に作ることができ、実は薬として頻繁に使われているのです。
プレドニンなどの商品名で処方されている人工的に合成されたコルチゾールのことを一般的にステロイド剤と呼んでいます。
いろんな場面で処方されるステロイド剤の実態はストレスホルモンだったのです。
ステロイド剤は強力な抗炎症剤として使われています。
主に疼痛や自己免疫疾患などの過度の炎症が起きているときに処方されます。それ以外にも喘息やアトピーなどの慢性炎症を伴うアレルギー疾患にも長期処方されることは珍しくありません。
ここでちょっと考えてほしいのですが、ストレスまみれの生活をしている人に限って、慢性的に頭痛、生理痛、腰痛、肩こり、胃潰瘍、ひざの痛み、肌荒れ、などに悩まされていると思いませんか?
ストレスが多い生活なら、コルチゾール(ストレスホルモン)が大量に出ていても不思議ではないですよね?(もちろん、副腎が疲弊しコルチゾールが十分に作れないケースもあります)
コルチゾールって強力な抗炎症作用があるんですよ?
ではどうして、抗炎症作用が強いコルチゾールが大量に出ているにもかかわらず、彼らは慢性的な痛みや炎症を患っているのでしょうか?
実はこれは医療界で完全に見逃されている、パラドックスなのです。
そのからくりを説明いたしましょう。
炎症を伴う症状や病気の場合、コルチゾールは確かに過剰に分泌されていることが多いのですが、コルチゾールの量があまりにも過剰なため、体がコルチゾールに対する敏感度を失ってしまったのです。
たとえ話で説明すると・・
高速道路の高架下を思い浮かべてください。車の騒音はひどく、初めてそこに訪れた人は大変うるさいと感じるでしょう。
しかしそこでしばらく時間を過ごすと、騒音はそれほど気にならなくなります。騒音に慣れてしまうのです。
コルチゾールの場合もそれと同じで、普段から多くのコルチゾールにさらされているとコルチゾールが持つ抗炎症作用が減少してしまうのです。
体がコルチゾールに対する敏感度を失った場合、体内で作られる分だけでは不十分になり、体外から人工的なものを足さなければ、炎症を抑えられなくなってしまうのです。
しかしこれは危険な行為なんです。
コルチゾールはストレスホルモンですから、もともとストレス過多であった状態にさらにストレスを上乗せするようなものですから、免疫は疲弊し、感染リスクが上がり、体を常に交感神経優勢状態にするので、低下していた消化器系臓器の機能、解毒機能、睡眠の質などがさらに低下します。
これらがいわゆるステロイド剤の副作用ということになります。
結論はこういうことです 。
そもそもストレス過多の生活習慣が原因で慢性的な痛みや炎症が引き起こされるのですが、その解決をステロイド剤に頼って炎症を無理やり抑える行為は、長い目で見れば必ず本末転倒になります。
たとえて言えばステロイド剤は高金利ローンのようなもので、その場限りはしのげるかもしれませんが、やがて破産に追いやられるのは時間の問題なのです。
何事でも根本原因を無視し続ければ、結果は目に見えているのです。
今後ステロイドの処方が必要なほど過度の炎症が起きたときは、その時点ではステロイド剤の服用が必要だと思いますから、素直に医師の指示に従ってください。しかし、ただ単に薬の服用をしてその場しのぎをするのではなく、なぜそのような事態に陥ったのかじっくり考え、根本解決に取り組めば、同じ間違いを犯さなくなり、将来的な病病気のリスクを下げることに繋がるはずです。





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