No. 38 (September 24, 2025) プラセボ
- hiroizumidc
- 10月31日
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プラセボとは、本物の薬とそっくりだけれど、実は有効成分は含まない偽の薬のことです。薬としての効果はない 砂糖やでんぷんなどを、本物そっくりのカプセルや錠剤にした「偽薬」であるにも関わらず、本物の薬を摂ったと信じることで症状が改善することがあります。この効果を「プラセボ効果」と呼びます。「プラセボ」という言葉の語源は、「満足させる」という意味のラテン語のplacereという言葉で、「気休め」や「慰め」というニュアンスでも使われるので、「気休めの薬」というような意味で偽薬のことを指すようになったようです。
プラセボ効果がどれくらいの人に起こるかは、実験の状況、被験者の心理状態、薬の種類によって違いますが、一般的にうつ病、不安症、頭痛、胃腸の不調などには効果が高いことが知られており、50%もの人にプラセボ効果が見られることもあるそうです。
プラセボ効果は、安心したり期待する気持ちが体に生理学的変化をもたらすことによって起きます。具体的には、自律神経が副交感神経優位になることや、ドーパミン、エンドルフィンなどの物質が関係すると言われています。逆に副作用が起こりうる薬の偽薬の場合、不信感や不安などのネガティブな感情によって、無いはずの副作用の症状が引き起こされることもあります。こちらは「ノーシボ効果」と呼ばれます。思考や精神状態が私達の体に及ぼす影響は、とても大きいということがわかりますね。
新薬が開発され、その有効性を臨床試験で確かめる際、その薬の効果がプラセボ効果を上回る、ということを証明しなければ認可は下りません。ただ薬を飲ませてその結果を調べただけでは、その効果がプラセボ効果によるものなのか、それとも本当に薬が効いた結果なのかがわからないからです。被験者をランダムに二つのグループに分け、その薬が本物か偽物かを絶対にわからないように、被験者だけではなく、その薬を渡す医師や看護師にもわからないようにした上で服用させることで、バイアスを最小限に抑えることを配慮した実験は、「無作為化二重盲検プラセボ対照試験(Randamized double-blind placebo-controlled clinical study)と呼ばれ、臨床試験のゴールドスタンダードとなっています。
また、いくら薬効が素晴らしくても、その薬による害の方が酷かったら、摂る意味がありません。治験で新薬を摂って病気になる人や死亡者が出た場合、それが薬によるものなのか、一切関係の無い他の理由によるものなのか、区別するのは困難ですが、プラセボグループの発症率や死亡率と比較することで、副作用のリスクを推測することができます。このように、臨床試験においてプラセボのグループを設けることは、有効性を確認するためだけでなく、安全性を確かめるためにも必要不可欠な条件なのです。
認可の過程でこのプラセボ対照試験がきちんと行われていないのが、ほとんどのワクチンです。ワクチンには、無毒化/弱毒化した病原体など以外に、数多くの有害な成分が含まれているので、安全性を正確に把握するためには、生理食塩水をプラセボで使用して比較することが理想なのですが、実際には別のワクチンや、アルミニウムを含んだものがプラセボとして使われているのです。治験が行われた時点で認可されていなかったワクチンが、プラセボとして使われたワクチンもあります。なぜ生理食塩水をプラセボグループで使用しないことが問題であるかというと、もし無毒化/弱毒化した病原体自体にはそれほどの副作用はないけれど、添加されている別の物が副作用の主な原因となっている場合、両方のグループのワクチンにそれらの有害なものが同じように含まれていると、副作用が出る確率が同じくらいになってしまい、添加物による害が見過ごされてしまうからです。
肺炎球菌ワクチンであるPCV-15の治験では、Prevnar 13という一つ古いタイプの肺炎球菌ワクチンがプラセボとして使われ、プラセボグループで酷い副反応が見られた確率が8.9%、PCV-15を摂取したグループでの副反応発生率は9.6%でした。二つのグループの違いは0.7%しかなかったので、PCV-15は「安全である」という結論になりました。この比較の仕方で、みなさんはPCV-15は「安全だと証明されている」、と安心できますか?
実は、現在使われている全てのワクチンで、ちゃんとプラセボを使った無作為化二重盲検プラセボ対照試験を行ったものは、一つもありません。世間では盲目的な医療信仰が刷り込まれており、疑いを持つことはまるで非科学的であるかのように考えられがちですが、現実はこれまで考えられていたほど裏付けのあるものではないことが明るみになってきています。数年前の「流行り病」に使われたワクチンによる健康被害が、今になってどんどん浮上してきていることにも、多くの人は気づき始めています。
日本人は、中学受験、高校受験、大学受験に向けて、相当な時間を受験勉強に費やしますが、健康や体については、ありきたりの表面的なことしか習いません。だいたいの人は、自分の体に関しては完全に医者任せです。医療業界の裏事情について知っている人は、人口の1%もいるでしょうか。しかし、いくらお勉強ができても、自分の体を管理する能力を持っていなかったら、個々が持つ力を最大限に発揮して、世の中に貢献していくことなど不可能です。でも、学校では実用的なことは何一つ教えてもらえないのです。
本当に大切なことは、自分で勉強するしかありません。子供には、それぞれの家庭で親が伝えていかねばなりません。そのことをひしひしと感じている今日この頃です。





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