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Issue No. 22 (May 12, 2024) 心の健康と栄養状態の関係

鬱、不安、パニックなど、心の病を抱える人がとても増えています。世の中の様々な状況や、社会の仕組みの変化など、増加の要因になっていると言われるものには色々ありますが、一番大きな原因となっているものは、現代人の栄養状態(栄養不足)であると私達は見ています。


まず、感情とは何でしょうか?感情には喜び、悲しみ、怒り、恐怖などがありますが、これらはただ単に頭の中で起きていることではありません。例えば怒りを感じる時、心拍数が早くなったり、悲しみを感じる時、涙が出たりしますね。何か強い感情が生まれる時には、必ず体内で生理学的変化が起きています。具体的に言うと、自律神経、心拍数や血圧や血糖値、コルチゾールなどのホルモンの分泌、セロトニンやドーパミンなどの神経伝達物質の分泌などに、何らかの変化が起きているのです。これらに影響を与えるものは、性格や考え方だけではありません。体の状態も、私達が日々直面する出来事に対してどのような反応をするかに影響を与えています。


まず、一番わかりやすい形で感情に影響を及ぼすのが、血糖値です。お腹が空くと機嫌が悪くなる方、いますよね。血糖値が下がりすぎると、ちょっとしたことで落ち込んだり、イライラしたり、やる気を失ったりします。小さな子供であれば、機嫌が悪くなり、グズグズ泣いている状態です。しかし、誰でも空腹になると同じように血糖値が下がるわけではありません。精神状態に影響を及ぼすほど血糖値が下がってしまう理由は、血糖値のコントロールシステムであるHPA 軸(視床下部-下垂体-副腎系)の疲弊にあります。幼い子供は大人ほどは上手に血糖値のコントロールができないものですが、栄養に余裕がありHPA軸が健全に働いている大人は、空腹になっても気分にさほど変化はありません。


また、私達の感情はホルモン分泌にも左右されます。月経前の気分の浮き沈みに悩まされる女性は少なくありません。なぜならば、月経が起こるまでは、体は栄養素をたくさん子宮内膜に集めて、妊娠に向けて準備をします。体の栄養状態に余裕のある人は、ここで特に大きな変化を感じることはありませんが、ギリギリのところで突っ走っている人は、栄養が少しずつ欠乏していき、色々な不具合が出る上、脳は栄養状態の悪化が進むことに不安を覚え、体を緊張モードである交感神経優位の状態に持っていきます。交感神経が優位になると、ちょっとしたことに敏感に反応するようになるので、感情的になりやすくなります。


鬱や不安障害を持つ人が欠乏していると言われるセロトニンやドーパミンは、ホルモンであると同時に、脳と神経のコミュニケーションに使われる神経伝達物質でもあります。これらはどちらも、動物性のタンパク質に多く含まれるアミノ酸が材料の一部なので、肉や魚を食べて、それを消化吸収するだけの力がないと、精神状態に影響が出ます。


女性ホルモンである黄体ホルモンや、男性ホルモンであるテストステロンなどの性ホルモンも、気分の浮き沈みに関係します。これらはコレステロールが主原料になっていますが、ストレスホルモンであり血糖値のコントロールにも使われるコルチゾールも、同じコレステロールから作られます。精神的であれ、肉体的であれ、何らかのストレスがある時、体はコレステロールをみんなコルチゾール生成に回して、そのストレスに対応しようとします。すると、性ホルモンが充分に作られず、不妊や生理の問題を起こすだけでなく、精神の状態にも影響を及ぼします。


このように、体には精神状態に関係している物質やメカニズムがたくさんあります。心の健康のためには、まず血糖値を安定させなければなりません。甘いものや糖質が中心の食べ方は、血糖値を乱してHPA軸を疲弊させます。タンパク質や脂質は、エネルギーをゆっくりと供給してくれるだけでなく、心の平安に必要なホルモンや神経伝達物質の原料になっているので、しっかり摂らなくてはなりません。交感神経が優位になることを防ぐために、野菜もたくさん必要です。ただ食べていても、消化吸収がうまくいってなければ逆に体に害になってしまうので、よく噛んで、消化酵素を利用し、消化の負担になるグルテンや乳製品や遺伝子組み換え食品を控え、食べる物のバラエティーを富ませることで、健全な腸内フローラを培っていく必要があります。


閉所恐怖症や、ロードレイジ(あおり運転や危険運転)も、血糖値を安定させて交感神経優位の状態が落ち着いてくると、自然と解消されていることは、機能性栄養学の世界では珍しいことではありません。まずは食生活を変えることから始めてみましょう。



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