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Issue No. 19 (February 12, 2024) ホルモン過多

我が家の長女は去年の秋からミドルスクール(日本での中学校にあたる)に通い始めました。廊下などで見られる子供同士の喧嘩が、小学校の時より断然多いようです。女の子の口喧嘩もあれば、男の子の殴り合いの喧嘩も日常茶飯事、たまに女の子同士の乱闘もあるそうです。性ホルモン分泌量が増加する時期である思春期の子供達にみられる傾向であると思いますが、「ホルモン」と聞いたら「どうしようもない」と思い込んでいる方が多いのではないでしょうか。思春期に限らず、私達は加齢に伴うホルモン変動によって、様々な身体的/精神的変化を体験します。特に女性は、お子さんがいる方であれば妊娠、出産、産後/授乳期にはそれぞれ特有のホルモン分泌パターンがありますし、生理前や排卵時、そして閉経前後の更年期には大きな変化を感じる方がほとんどです。これは実は女性に限ったことではなく、男性でも中高年期に男性ホルモンの分泌量減少による身体的な変化や心理的な症状を感じることがあります(アンドロポーズ、と呼ばれています)。性ホルモンの分泌量の変化によって感じられる症状の多くは、厄介で不快な物ですが、これらを回避する手段はホルモン補充療法以外にはないのでしょうか?


結論から言ってしまいますと、私達の体は本来はホルモン分泌量の変動によるネガティブな影響をさほど受けずに歳をとることができるように作られています。ほとんどの人が経験する症状であるからと言って、それが本当の意味での「普通」というわけではありません。「一般的」であったとしても、それが私達の体のデザイン上の「正常」であるとは限りません。きちんと体をケアしていけば、ホルモン分泌が大きく変化する時期を快適に過ごすことは可能なのです。


現代人の多くが性ホルモンに振り回されるメカニズムは、大きく分けて二つあります。一つは性ホルモン過多、二つ目は性ホルモン不足です。今回はホルモン過多について、次回はホルモン不足についてお話します。


「ホルモン過多」と書くと、「ホルモンが出過ぎている状態ということ?」、と思うかもしれませんが、実はそうではありません。性ホルモンは最終的には肝臓が分解し不活性化するのですが、肝臓が忙しくなりすぎると性ホルモンやその他諸々の分解が速やかに行われなくなり、本来なら分解されてとっくに排泄されているはずの性ホルモンや老廃物がいつまでも体の中にとどまってしまうので、まるで「過多」であるような状態を作るのです。この状態による典型的な問題が、顔のニキビです。思春期に顔中がニキビだらけになる人、いますよね。思春期の若者に限らず、大人になってからも特にあごのラインにニキビができるタイプの人は肝臓のデトックスを必要としています。ホルモン過多の状態になっている女性は、生理痛や気分の浮き沈みなど、ホルモンの変動に大きく影響を受ける傾向にあります。また、性ホルモンが増殖を促すタイプの乳がんや子宮内膜症、子宮筋腫、PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)なども同じメカニズムであると多くの機能性医学専門医はみています。


では何が肝臓を忙しくしてしまうのでしょうか。肝臓は解毒を担う臓器なので、アルコール、薬、化学調味料、殺虫剤、除草剤、プラスチック、家畜に使われるホルモン剤などは全て肝臓が分解しなければなりません。「環境ホルモン」によるメス化が一時期話題になりましたが、そういった化学物質は私達の体の中でホルモンバランスを乱すだけではなく、肝臓に大きな負担をかけます。また、実は腸内環境も肝臓にとても大きなインパクトを与えます。腸で消化吸収された物のほとんどは一度全て肝臓へと送られるので、リーキーガット(Newsletter No. 17参照)の問題があると、肝臓が未消化物の処理でてんてこまいになってしまいます。リーキーガットの背後には胃酸の分泌量が足りていないことがあるケースも多いです。胃酸の分泌が足りない状態では、消化がしっかりと行われることは不可能だからです。胃酸の酸度はタンパク質から来るので、タンパク質不足も大きく関係します。実際解毒したものを運んで体外に排泄するのもタンパク質なので、タンパク質不足は胃酸不足を招くだけでなく、体全体を毒だらけにし、その毒の処理に当たる肝臓に更なる負担をかけます。


アルコールや薬など肝臓に直接的な負担を与える物を極力控えること、よく噛んで食べること、消化酵素を利用すること、タンパク質をしっかり摂ることなどが肝臓をサポートし、スムーズな性ホルモンの分解を促す上で非常に重要になります。ただここで注意しなくてはならないのが、胃酸分泌が充分でない人が消化のサポート無しにタンパク質の摂取量を一気に増やすと、未消化のタンパク質が更に肝臓に負担をかけて状況が悪化する可能性があるということです。肝臓の機能を上げようと思ったら、まずは消化力を上げることから始めなくてはなりません。消化酵素を摂っても状況が全く変わらない人、又は消化酵素を摂ると胃やお腹が痛くなってしまう人は、機能性医学専門医の指導の下で消化力アップを計る必要があります。


肝臓は沈黙の臓器と呼ばれる通り、血液検査で異常値が出るまでには長い年月がかかるため、一般の検診を基準に肝臓の機能を測ることは困難です。 ホルモン過多による問題に心当たりがある方は、まず食生活を整え、化学物質を極力避ける努力をすることをおすすめします。


次回は「ホルモン不足」についてお話します。



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