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Issue No. 16 (March 10, 2023) なぜ小麦が悪いのか

日本でもグルテンフリー(=グルテンを一切含まない)の食品が巷で見かけられるようになりました。グルテンとは、小麦に多く含まれるタンパク質で、大麦やライ麦などにも含まれます。小麦に含まれるタンパク質はグルテンだけではありませんが、小麦アレルギーを持つ人の大半は、このグルテンにアレルギー反応を起こしています。よくある小麦アレルギーの症状としては、肌の発疹、吐き気や腹痛、下痢やガスなどの消化器の問題、鼻づまりなど、様々な物がありますが、セリアック病という自己免疫疾患を持つ人の場合、グルテンに対する抗体が自分の腸壁の細胞をも攻撃してしまうため、深刻な栄養失調を引き起こします。元々グルテンフリー食品はこのセリアック病の人の為に開発されたものだったようですが、グルテンを除去した食生活を実践することによって、何をやっても無理だった減量に成功したり、心臓疾患のリスクを下げることができたり、重度の自閉症の症状が著しく改善されたり、アスリートのパフォーマンスが上がったりと、様々な効果が報告されるようになり、今では小麦アレルギーという診断の有無に関係なく、健康のために小麦製品を意識して控える人がどんどん増えています。


小麦は一万年ほど前から栽培されていると言われているほど、私達人間にとって馴染み深い穀物なのに、なぜその小麦にアレルギー反応を起こすなどということがあり得るのでしょうか?考えられる原因の中で恐らく一番インパクトがあったものは、小麦の品種改良です。小麦と一言で言っても、昔は色々な種類の小麦が世界中で栽培されていたようですが、1970年代にアメリカ人の学者による研究で背丈が低く丈夫で倒れにくい品種が開発され、今では世界で栽培されている小麦の9割以上がこの品種が元になっている物なのだそうです。この新しい品種は収穫率が非常に高く、食糧不足の問題解決に貢献したとして評価されていますが、従来栽培されてきた他の自然な品種に比べてグルテンを多く含むため、消化の臓器に大変負担をかけるものなのです。


グルテンは元々私達人間にとって消化することが困難なタンパク質なので、小麦は昔から伝統的に水に長時間さらしたり、発芽させたり、発酵させたりして、消化にやさしい形にしてから食べられてきました。それが交配によって更に消化器に負担をかける品種になった上、発酵時間の短縮を可能にしたドライイーストの使用が一般化されたことで、見かけや食感は同じでも実際は充分には発酵されず消化のお膳立ても不十分なパンを食べるようになりました。また、小麦を使った麺類も、生の麺ならまだしも、現代を生きる私達が日頃食べる乾麺は押出形成という高熱と高圧を使った加工法で作られているため、更に消化に負担をかけるものになっています。その結果、私達の腸内環境は悪化し、リーキーガットという問題を引き起こし、肝臓に負担をかけ、アレルギー体質や自己免疫疾患の問題を生み出すことへと繋がってしまったのです。(リーキーガットについては次回のニュースレターで解説します)


小麦の問題はそれだけではありません。昨年4月にお送りしたニュースレター第11号でお話した通り、腸内細菌を殺してしまうグリフォサートという除草剤は、多くの穀物に乾燥剤として収穫前に大量に散布されているので、たとえ「Non-GMO(遺伝子組み換えではない)」の表示が付いている物だったとしても、オーガニックではない小麦製品を食べる時にはほぼ必ずと言っていいほどグリフォサートも摂取しているのです。そもそも穀物は種子なので、簡単に発芽しないような仕掛けが自然に組み込まれており、それが消化を更に難しくしているのですが、全粒のパンやパスタなどを食べるとその発芽抑制物質と共にグリフォサートまでも体内に入れていることになります。


人間が便利性を追求して手を加えれば加えるほど、どんどん問題が出てくるということがおわかりいただけるでしょうか。元々自然にあった形の麦を、昔から伝わる伝統的なやり方で栽培し調理して食べていれば、恐らく今のような深刻な状況にはならなかったのではないかと思います。サワードウという天然酵母で発酵させるパンがあり、我が家でも時々焼いていますが、長時間かけてしっかり発酵させたサワードウであれば、セリアック病の人が食べても反応を起こさないという話を聞いたことがあります。


アレルギーの検査で小麦アレルギー、もしくはグルテンアレルギーであるという結果が出なかった人でも、グルテンを含む食べ物を除去することで改善されうる症状には色々な物があります。頭痛、不安症、鬱、物忘れがひどい、頭がボーっとして集中できない、慢性疲労、性ホルモンの問題、関節の痛みなど、普通小麦アレルギーとは無関係だと思われるような問題が改善する場合も少なくありません。和泉家では、普段家で調理して食べる糖質はできるだけお米やイモ類から摂るように努力しています。自家製のサワードウも食べますが、小麦粉や小麦製品は必ずオーガニックの物を購入しています。外食時や友人達と一緒に食事する時などは特に気にせず何でも食べたいので、普段はグルテン摂取を最低限に抑えて、体の器を大きく保てるように心がけています。風邪をひいていたり体調があまりよくない時や、年に2度の集中デトックスをする時には、体への負担を軽減しエネルギーや栄養素を修復や解毒に使えるように極力避ける食品がいくつかありますが、グルテン/小麦はそんな時に完全に除去する食品のひとつです。


これから春になり気温も上がり、デトックスに適した季節になります。ぜひ皆さんにも一度数週間小麦/グルテンを完全除去することにチャレンジして、体調の変化を体感してみていただきたいと思います。 



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